孵卵場紹介


孵卵場とは、卵からヒヨコを孵しているところです。

まず、ヒヨコになる卵(種卵)をラックと呼ばれる台車にセットします。このラック1台には最大で6480個の卵を詰めることが可能で、多い時にはこのラックを一日に10台使用することもあります。この卵を21日後に「ヒヨコ」となるよう機械によって温めていきます。

ラックにセットした後、セッターと呼ばれる孵卵機に運び、ヒヨコになるための最適な環境で保管します。孵卵機はコンピューターによって温度や湿度などの環境が管理されております。もし、基準設定値を超えたり、何か事故があればサイレンが鳴り、異常を知らせます。この期間中(卵を機械に入れて1日目~19日目)の管理次第で良質なヒヨコになるのかどうかがほとんど決まってしまうため、孵卵作業の中では最重要項目と考えられています。温度、湿度共に低すぎても害があり、その逆でもいけません。その温度、湿度管理の範囲はわかりやすく言うと、0.1℃の世界です。

もちろんこの中では細菌等は御法度で、できるだけ清潔な環境で保管しなければなりません。孵卵機内を衛生的に保つための方法はいろいろありますが、特に人が出入りする際にはいつも細心の注意を払っています。靴を消毒してから入ったり、服の汚れをエアーで飛ばしてから入ったりといった事には特に注意しています。

孵卵機に保管してからちょうど19日目。卵を孵卵機の外に一時的に出し、検卵とワクチン接種をします。
検卵とは、無精卵(ヒヨコにならない卵)を取り除く作業のことです。左の写真は、エッグリムーバーという検卵機の写真です。写真にある赤い吸盤が無精卵だけを正確にキャッチし、そのまま別の場所へと移します。残った有精卵のみ先のラインへ進み、イノボジェクトという機械でワクチンを接種します。ワクチンをこの時期に接種しておくことで、ヒヨコが卵の中にいる時から病気に対しての抵抗力をつけることができます。機械について、詳しくはイノボジェクトのページを御覧ください。作業風景が気になる方は、動画を載せていますのでこちらをご覧ください。

 

接種後、卵はバスケットに移し替えられ、今まで入れられていたセッターとは別の場所、ハッチャーと呼ばれる孵化機に入れられます。

なぜハッチャーに移して温めるのかというと、一つは19日目以降の卵の最適環境は1~18日目までの環境設定とは違うため。もう一つは2日後にヒヨコが孵ると部屋の中が羽毛でいっぱいになってしまうためです。セッターは1~18日目以内の卵がいくつも保管されておりここを羽毛まみれにするわけにはいかないので、孵化間近の卵は他の卵とは隔離して保管しておく必要があるのです。

21日目に卵からヒヨコが孵り、出荷されます。ヒヨコが入っているバスケットを一つずつ丁寧に取り出し、一羽、一羽選別していきます。足や首が弱かったり、くちばしが曲がっていたりしているヒヨコは残念ながら出荷は出来ません。もし、農家様の元へ出荷しても、餌をうまく食べられない、うまく歩けない等の理由で最後には淘汰されてしまうため、立派な鶏になれる元気なヒヨコのみを選りすぐって農家さんに出荷するのです。

(株)イシイで何年もこの仕事に携わる人たちは、ヒヨコの質を瞬時に見分ける技術を会得しています。選別の方法はヒヨコを出す人と、選別する人の2ラインで行い、バスケットからヒヨコを出す人は目視でヒヨコの状態を確認し、次のラインへと送ります。中には瞬時に判断が難しい微妙な状態のヒヨコもいます。そのヒヨコは実際に手で握って腹の張り、足の状態、色を確認します。もちろん私達の管理能力で良質のヒヨコの割合も大きく変動するため、管理者は気を抜けない日々が続きます。ちなみに選別後、雄と雌を見分ける鑑別作業を行うときもあります。これが終われば後は出荷を待つのみです。

選別が終わったヒヨコは、コンテナに保管され、農家に出荷されます。1コンテナには約100羽の雛が入っておりますが、夏の温度の高い時季は少なめにします。鳴き声や、行動、集まり具合といったヒヨコからの信号で、最適環境を推測して保管されます。現時点で、温度は25℃付近、湿度は70%くらいが環境設定の目安です。指定時間間近になるといよいよトラックに積み込み配達ですが、ほとんどの場合は朝早くに出発します。朝4時、6時、早い時には深夜2時頃に出発する便もあります。

輸送時も重要になるのが外気温や車内温度といったところですので、長時間の運転になるときは一定時間毎にトラックを停車し、ヒヨコの状態を目視確認しています。

余談として、ヒヨコが孵った後の卵の殻は機械にて粉砕処理または微生物処理され、肥料として再利用します。