ブロイラーひなの生産
世代を問わず鶏肉のニーズが高まる一方で、生産者数は年々減少しています。人間にとって欠かすことのできない5大栄養素の中でも「タンパク質」は生命維持にとって大切な栄養素です。当社は、鶏肉生産の川上にあるブロイラーひな生産事業を基盤として食料自給率を維持するために、作業軽減によるオートメーション機器の導入、働き方改革に対応するために労務管理システムの導入を行い、ブロイラーひな生産の業界トップを目指しています。
鶏肉の6~7割を国内で生産、ブロイラーが高い需要を誇る。
鶏肉の自給率は、直近10年の間、おおよそ6~7割の間を推移しています。牛肉は4割、豚肉は5割程度なので、鶏肉は比較的高い水準で国内生産が実現できています。
市場に出回る鶏肉は、そのほとんどがブロイラーと呼ばれる品種です。ブロイラーとは短期間で出荷できる肉用若鶏の総称で、成長が速く、飼料効率にも優れています。通常約50日で大きく成長し、歩留まりも良いため、非常に高い需要を誇っています。価格が手ごろで、やわらかい肉質が特徴です。
生産農家の事業継続サポート
農家様の「廃業したい」という情報があり次第、当社がその農家様をサポートします。廃業理由の多くは、後継者がいないことや資金調達の目途が立たないことであり、やむを得ず廃業をしてしまいます。そこで当社のウインドウ部が約半年間かけて鶏舎のオートメーション化を行います。継続的に養鶏を行いたい農家様は、当社の従業員となっていただき、永年培ってきた養鶏の飼養技術を当社の若い世代に継承していただきながら、養鶏のお仕事に従事することができます。当社の勤務スケジュールは、完全シフト制になっているので、当社に入社してから初めて長期休暇をとることができたなど、仕事を通じて「心の豊かさ」にも貢献しています。
飼養戸数が減る中、鶏肉への需要は増加傾向
国内のブロイラー飼養農場は年々減少していますが、鶏肉への需要は消費者の健康志向の高まりから増加傾向で推移し、一戸あたりの飼養羽数は年々増え、大規模化・寡占化が進んでいます。
海外企業との連携
日本の畜産業の設備は、海外と比べて遅れをとっているのが現状です。そこで、当社の通商・設備部が、海外の仕入先や養鶏展示会に出向き、最新の飼養技術及び商品情報を入手しています。国内で商品をすぐに販売するのではなく、まずは当社の農場や孵卵場で導入を行い、従業員から商品に関する生の声を聴いて改良を行います。生産成績の向上が確認できたうえで、お客様に提案営業を行っています。
世界の養鶏業界の情報と技術を繋ぐ。
養鶏産業が進化している海外の技術や新商品情報をいち早く入手するため、専門スタッフが20~30社の海外メーカーとコミュニケーションを図りながら、取引を行っています。また、新しい商品を輸入する場合は、実際に海外へ足を運び、企業及び商品の確認を行います。既存商品の改良・新商品の開発も、長年取引をしている海外メーカーと連携し積極的に行っています。
最新のワクチネーション機器や孵卵場機器、養鶏機器といった商品を試験的に輸入した後、自社農場での使用を通して実用化し、データやマニュアルを整えお客様に提案しています。
国産鶏種生産の取り組み
「国産鶏種」とは、国内で育種改良された鶏のことをいいます。国内の養鶏農家が飼養している肉用鶏は、外国の育種会社が育種改良した鶏種(外国鶏種)の種鶏・原種鶏(※)に由来する鶏が大部分を占めており、国産鶏種は、出荷羽数ベースで全体の1~2%程度に過ぎません。そこで、外国鶏種だけに頼らず、国内で育種改良することにより真に国内の気候風土に適応した丈夫な鶏種を生産し普及していくことが大切です。将来起こりうる世界的な気候変動も念頭において、遺伝的多様性を持った鶏種を確保しておくというリスクヘッジ、地産地消という観点からも意義が大きいと考えられています。高病原性鳥インフルエンザの発生等による種鶏の輸入停止措置の発動、為替の急激な変動等の不測の事態の発生による種鶏の調達リスクが発生した場合でも、一定の国産鶏種のシェアを確保しておくことで国内の鶏肉生産を維持することができます。
※ブロイラー(肉用鶏)を生産するための親鶏を「種鶏」、さらにその種鶏を生産するための親鶏(ブロイラー(肉用鶏)から見たら祖父母にあたる)を「原種鶏」といいます。
国産鶏種について
イシイから業界を変える
国産ブランドの確立。
当社では、国内における種の育成に関する理解を深め、国産鶏種「はりま」と「たつの」の生産をはじめました。
国産鶏種の開発は(独)家畜改良センター兵庫牧場、都道府県、民間での連携・協力をすすめています。わが国の肉用鶏の国内生産は、外国の育種会社により育種改良された種鶏・原種鶏に由来する鶏が大部分を占めています。
将来、「はりま」「たつの」が、安全(飼料・ワクチン)、安心(生産履歴)、信頼(組織・情報開示)、高品質(動物福祉・うまみ・こだわり)、高い社会性(鶏の保存と鶏肉の自給率向上)において消費者にさらに認知され、国内生産の10%くらいまで増えてほしいと願っています。